吉田が吉田のうどんを食べた

調査取材のために昨年末に続いて甲府市にやってきた。富士吉田で食べられている郷土料理「吉田のうどん」が甲府市内でも人気のようだ。再び甲斐善光寺近くの人気店「手打ちうどん とだ(後に「陸」)」にでかけた。*うどんの写真以外は2019年12月撮影。

手打ちうどん とだ

手打ちうどん とだ

店は畳の間に座卓が並んでいる。注文した後にゆっくりと待つ。前回は素うどんだったが、今回は地元の人たちに評判らしい肉うどんを食した。

肉(馬肉)たっぷりで濃いスープ、麺は硬くてコシが半端なく強い。ボリュームもあって大満足。

食べ終わって2人前1,000円を払い、店のお姉さんに領収書を求めると「宛先は?」。私「吉田のうどんの吉田です」。ふざけていると思われたのか、あるいはコロナ対策のシールドで聞き取れなかったのか、手渡された領収書の宛名は空白だった…。

現在の店「陸」はネットで検索すると、営業案内は平日11:30~13:45(土日祝は14:00)。駐車場は完備。〒400-0806 山梨県甲府市善光寺3丁目30−1。

改めて吉田のうどんを調べてみた。

吉田のうどんは山梨県富士吉田市や山梨県内を中心として食べられている郷土料理。硬くてコシが非常に強い麺とスリダネが特徴だ。麺が硬いのはグルテンの生成による。

汁はイリコや椎茸の出汁がよく用いられる。醤油、味噌、醤油と味噌の合わせ味などバラエティーがある。具として細切りや輪切りのニンジン、シイタケがよく使われる。合わせ味は、醤油、味噌ともに大豆から作られることから「いとこ汁」と呼ばれる。最近は県外からの客の好みに合わせて削り節や昆布の味もある。

薬味の「すりだね」は赤唐辛子をベースにゴマや山椒を加えて油で炒めたものだ。

農林水産省選定の「農山漁村の郷土料理百選」、山梨県の次世代へ伝えていく郷土料理に選定した「やまなしの食」にリストアップされている。

山梨県の名物「ほうとう」や吉田のうどんは、稲作が困難で小麦を使った料理が普及した。起源は江戸時代に吉田宿や河口宿などで富士参詣者にうどんが売られ始めた。昼時に一般の家屋が「食堂」に変身した、といわれる。

ちなみに私にうどんを贈るときは「吉田にうどん」、食べるときは「吉田がうどん(を食べる)」、作るときや他人に贈るときは「吉田のうどん」、人柄や思考が柔軟なときは「吉田はうどん」などと使い分けること…。「日本の沿岸を歩く」の取材には直接関係はないが、出汁のような食材ではつながりがあるものだ。

食事の後にすぐ近くの善光寺に。甲府市育ちの友人は初回訪れた際、長野の善光寺は知っていても、こちらの甲斐善光寺は知らなかった。

友に引かれて甲斐善光寺参り

甲斐善光寺

甲斐善光寺

20250928 Revised