那須正幹さんは永遠の「いたずら少年」

「ズッコケ三人組」シリーズで知られる児童文学作家の那須正幹さんが22日、79歳で亡くなった。2005年、山口県防府市の自宅を訪ねてインタビューした思い出がよみがえる。気さくな人柄、広島弁の軽妙な語り口で原爆被爆のことや少年期のこと、文学についてたっぷり聞かせていただいた。

印象を一言で表すと永遠の「いたずら少年」。人は楽しく生きるべき、という哲学が人柄にも作風にも表れていたように思う。インタビューをまとめた『つながるいのち 生物多様性からのメッセージ』(共著 山と渓谷社 2005)から気に入っている部分を紹介する。

小学生時代はいつも学級委員に選ばれる優等生だったが、「平均的ないたずら小僧」を自認する。よそのイチジクを失敬したり、線路に耳を当てて電車が近づく音を聞いたり。そんな元気いっぱいの少年もしくじることがあった。踏み切り内でトンボを追いかけていたのを注意され、悪態をついたら踏み切りの管理人に捕まってしまったのだ。校長先生に言いつけると脅された。
「大変なことになったと思ったら、とっさに言い訳が口をついて出てきたんです。
『実はお袋が病気で寝ているので、僕は早く家に帰っておかゆを作って食べさせなければいけんのです』と。
それでまんまと放免してもらいましたが、以後、その踏切を通るのが嫌でね。まあ、あのころから話を創作する作家の素質があったのですかね」
(146P)

先生の言うことを守って、いい学校に行って、いい会社に就職して、幸せな人生を、と思う親や子が多数派だろうが、那須さんのような、いたずら少年が増えた方が世の中楽しくなると思っている。

高校生時代には生物部に属して自然観察を楽しみ、好きな昆虫は手塚治虫と同じオサムシだという。自然へのまなざしにも非常に共感を覚える。

物書きの理想像でもある那須さんと出会えたことに感謝感謝である。ありがとうございました。

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